Pro’s Views

[Pro’s Views] (3)測量士 浦恒博さん

各業界の第一線で活躍されているプロフェッショナルな方々の視点や発想に迫る「Pro’s Views」。

今回お話を伺ったのは、ご自身も測量士であり、これまでにレインボーブリッジや東京ゲートブリッジなど数多くの橋梁の測量に携わった測量会社・興和設計公務事務所を率いる浦恒博社長。プライベートでも全国の様々な橋梁を訪れて写真を撮るほどの橋好きを公言する浦社長に、測量のこと、橋梁の魅力など様々なことをお聞きしました。

■仕事のこと

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測量という仕事は幅が広くて、測量会社と言っても、トンネルの測量が得意な会社もあれば、ビルなどの建築物の測量が得意な会社もあります。当社は、橋梁関係の測量を得意としています。

最近は東京五輪に向けて都心部と湾岸部を結ぶことで話題になっている、築地市場の所の隅田川橋りょう(仮称)の測量に関わりました。その架設の時は見学に行って、橋桁の運搬や架設工事などいろいろと写真を撮って自分のブログで紹介しました。

仕事だからというより、純粋に橋そのものが好きですね。橋を見ると写真を撮りたくなります。橋は近くからでも遠くからでも、上からでも下からでも、こちら側からでも対岸からでも、いろんな角度から撮ることができ、いろんな迫力を知ることができますから。自分の知っている橋の写真を他の方がブログにアップしているのを見た時、自分の思いつかなかった角度の写真があると、ちょっと悔しくなります(笑)。

スマホは常に持ち歩いてます。紙の地図を持たなくてもスマホで十分になったことは便利ですね。また仕事では、見積や入札などをリアルタイムで確認できるのが大きいです。以前は入札があると、社長の自分も会場にいなければ金額をすぐに決定できませんでしたが、今はどうしても他の用事がある場合は、スマホさえあれば会場の外からでも確認と適切な指示ができます。

■世の中を見ること

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若い下積み時代の頃はよく「現場に行っても、一つの場所にとどまらずにどんどん歩け」と言われましたが、確かに測量士はいろいろな場所でいろいろなものを発見し、いろいろなものに興味を持てる感性は大事です。

例えばブロック塀一つ見ても、その塀は支えが付いている側のほうの所有物だろう、などの情報がいろいろ見つかります。日頃道を歩いてみて、そういうちょっとした細かい部分で「これ、面白いな」「これおかしいな」と思えるかどうか。そういう日頃の注意力が、いざ現場に行った時に、測れないと思っていた場所で測量できる意外な場所を見つけたり、実は誰も気づかないこの隙間から実はあの地点が見えるんだと知っていたりと、意外な形で役立つんです。こういう感性はなかなか鍛えてできることじゃありません。

そして測量士に大切なのは、コミュニケーション能力です。測量はただ正確に測ればいいのではなく、どのような測量が相手から求められているのかを正確に把握し、それを相手が利用できる形で提供して初めて仕事になります。それが不十分だと、意味のない部分まで測量をして意味のないデータを渡すことになるからです。

測量士は黙々と測るだけの仕事に思われますが、そうやっていろんな情報を得たり、きちんとしたコミュニケーションを取ったりすることが大事な仕事と言えます。

■出かけること

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弊社は墨田区にあるのですが、よく隅田川沿いをジョギングしたり水辺で考え事をしたりします。信号もないので走りやすいし、橋がたくさんあるので橋好きにはたまらないコースです。

隅田川には大正時代の関東大震災の復興時に架けられた、気合いの入った良い橋が多いんです。それらの橋を写真に撮ろうとすると、隅田川は南に向かって流れているから、下流に向かって撮影するとどの橋も逆光になってしまい、上流に向かって撮るほうがきれいに撮れるんですよ。

ただ、蔵前橋だけはすぐ南側に水道橋が並行していてそれが邪魔で下流からでもきれいに撮れません。南北に流れる川に架かる橋はこうして写真に影響が出ます。橋にはそういう奥深さに魅力がありますね。

■お気に入りの風景

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豊洲のアーバンゲートブリッジです。隣の「ららぽーと豊洲」には本を買う時などによく行くんですが、この時はちょうど夕焼けが美しかったので、ふと手元のスマホで撮ってみました。これはいわゆる可動橋なんですが、僕が行くといつも開いていて、閉じている時の写真がなかなか撮れないんですよね(笑)。

でも開くのが可動橋ならではの魅力ですから、個人的には開いている時のほうがかっこいいです。他にすごく気になっていて行きたいと思っている可動橋は、福岡県北九州市にある「ブルーウィングもじ」です。

20150126_005■浦 恒博 (うら つねひろ)
測量士。石川県出身。
神奈川県の測量会社に勤務後、平成15年に株式会社興和設計工務事務所に入社。平成22年、同社代表取締役社長に就任。東京ゲートブリッジなどの橋梁をはじめ、数多くの測量業務を手がける。
テレビ東京『空から日本を見てみよう』江東区の回での出演、経営者向けメディアでの記事連載や講演登壇など、各方面で活躍中。
公式ブログ:「きちんと、測る。はかりびと

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Paddy編集部の中の人です。

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