現在の日本の医学は、西洋医学と東洋医学が融合して大きく進化をしていますが、そんな医学会の進歩に関係する石碑が、東京都中央区の日本橋人形町にひっそりと建っています。
この石碑、見つけることができるでしょうか?

その場所は、地下鉄人形町駅から徒歩3分ほどのところにある遊歩道、浜松緑地の中。このような水路と歩道で構成された、南北に延びる長細い遊歩道なのですが……。

その中にひっそりと、この「漢方医学復興之地」という石碑が建っています。
漢方医学の復興とは何か? それは、明治時代に西洋医学がもてはやされて漢方医学が潰されようとしていた頃に、和田啓十郎という一人の漢方医が『医会之鉄椎』という本を自費出版したことで、漢方医学が再び見直されることになったんですね。その顕彰として建てられた石碑なのです。
いろんな分野でグローバル化が叫ばれて欧米のものを崇めてしまう傾向は、明治時代だけではなく今でもまだ同じこと。そんな我が国の将来の進歩を考える時には、この石碑を前に想いを巡らすのもいいかもしれません。
漢方医学復興の地という石碑を見つけたのは約2年前のある日、娘のいる日本橋を、偶然散策していた時であった。私は漢方を学んで30年になるが、この碑に出会ってから、漢方との関わりが一層深くなった。
実は、今から日本における漢方生薬治療が継続発展するための会議に参加するが、朝またこの碑の前で、和田啓十郎に誓ってから会準備をはじめる。不思議なった出会いに感謝している。