Paddy風景紀行

富士の麓の、まるで意思があるような滝

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これから次第に暖かくなっていき、水辺が気持ちいい季節になっていきますね。そんな時には、何といっても「滝」の風景。落差の豪快さと水しぶきの潤いで、たとえ写真であっても癒されてしまいます。

日本には様々な滝があり「日本の滝百選」というのも選定されているのですが、百選の滝の中でも面白い歴史的エピソードを持つ滝が、静岡県富士宮市にある「音止めの滝」(おとどめのたき)。行かれたことはありますか?

富士宮市街地からは、バスで30分ほど。もう一つの有名な滝「白糸の滝」に隣接しているので、「白糸の滝」バス停で下車すると近いです。

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このように、「音止めの滝」は間近で見ることができますよ。晴れていると、かなりの確率で虹が見えます。

隣接する「白糸の滝」は遠くからその広くて優雅な水を見るのが美しいのに対し、「音止めの滝」はその一点集中型の豪快な迫力が魅力。その轟音もすごいです。

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少し離れていても、その轟音は地響きのように大きく聞こえる名瀑です。

ではなぜここまで轟音の滝なのに「音止めの滝」という不思議な名前が付いているかというと、その由来は鎌倉時代初期にまで遡ります。

鎌倉幕府を開いた源頼朝がこの辺りで「富士の巻狩り」という一大イベントを行った時、曾我祐成・曾我時致という兄弟が父親の仇である工藤祐経を討とうと計画したんですね。そしてこの場所でこっそり仇討ちの密議をしていたけれど滝の轟音で全然話が聞き取れないので、「大切な打ち合わせなんだから!」と念じたらこの滝はぴったりと音を止めてくれて、結局二人の兄弟は見事に仇討ちを果たした、というのです。

仇討ちの計画が立てやすいように音が止まったことで「音止めの滝」。まるで滝が意思を持っているかのような伝説です。この滝が音を止めてくれるような、そんな重大な仕事の打ち合わせをここでやってみるのもいいかもしれません。

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